モケの映画考察

思いついたときに思いついた映画について

マンチェスターバイザシー

 

 今日は映画館で、マンチェスターバイザシーをみてきました!

個人的評価:★★★★☆ 4.2/5

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久しぶりにとてもいい映画を見たと思ったので、この感情がほかほかなうちに感想を!笑

 

〈あらすじ〉

心を閉ざして孤独に生きる男が、兄の死をきっかけに故郷に戻り、甥の面倒を見ながら過去の悲劇と向き合っていく姿を描いたヒューマンドラマ。第89回アカデミー賞では作品賞ほか6部門にノミネート。主演男優賞脚本賞を受賞した。プロデューサーにマット・デイモン、主人公の元妻役で「マリリン 7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズ、兄役で「キャロル」のカイル・チャンドラーが共演。

 

〈感想〉

主演男優賞をとるだけあって、とにかくケイシー・アフレックの演技がすごい。不器用でなにか闇を抱えていそうなオーラを始めから全開で、心配をしてあげたくなる。

ただ、アフレック演じる主人公リーのみならず、周りの登場人物も一筋縄ではいかない人たちばかり。そこがとても生々しくリアリティが溢れていて、ついついぐっと引き込まれてしまう。誰しも抱えている闇、なぜかひねくれてしまった性格、どうしても治らない癖。そういったわたしたちの周りにも少なからずいそうな人格がたくさんでてくる。

 

全体的に穏やかで繊細な映画だったなぁ、という感じ。大人しく時が流れる映画で、大切かつ視聴者の印象にも残るのがやはり音楽。この映画の音楽は、人の声が要所要所で入ったりもしていた。決して映画の邪魔をしないで雰囲気づくりをしていて、とてもいい仕事をしていたように思う。

また、ちがう音声技術について言うと、ときたま音楽のみの部分があり、どうしたんだろうと思わせる。決して大げさな表情をしない登場人物たちの中で、そういったシーンが逆に印象に残るようになっているのかもしれない。

 

また、多くを語らない脚本も素晴らしい!

沈黙の時間がとても有意義に使われていて、一秒たりともわたしたちを引き付けて離さない。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここからは、すでに見た人向けにネタバレこみで感情を!まだ見ていない方は要注意です!

 

 

まず、個人的にとても圧巻だと思ったのは、ストーリーの展開の仕方!主人公がだらしなくて、でもどこか憎めない映画ってたくさんありますよね。過去にトラウマがあって人とうまく接せない。奥さんとも別れた。両親兄弟ともうまくいっていない。ひとりでボロアパートに住んでほそぼそと生活リズムしている。

ここまではよくある展開だと思ったんです!だけど今回のリーはそれだけじゃない!元々のんべえなところがある彼だけど、過去の傷はほぼ彼が悪くないと言っても過言ではない、ある意味“事故”によるトラウマ。ここが見るものをとても切ない気持ちにさせたと思います!

しかも、始めの展開的に、本人がだらしなくて家族を傷つけて地元にいづらくなったんだろうな、と途中まで思わせるようなストーリー展開、主人公の映し方。ここがなんといっても秀逸!途中までみなさんリーのことを批判的な目で見てたと思うんです!ところがどっこいのどんでん返しが切なすぎる!!!この映画の素晴らしさはここにあると思います。わたしは火事の燃え盛るシーンでハートを鷲掴みにされました( ´ ▽ ` )遺言書と火事のシーンの切り替わりが、リーの孤独さを急激に浮き彫りにして、とても切ない。

 

そして、リーのその後の成長が不器用すぎてまた愛おしいとすら思ってしまう!長く距離を置いていた甥との再会、生活。そして自分と重なる甥の境遇。そんなことをわかりつつも、消えない自分自身の傷。そしてそれをわかっていたのかのような兄の遺言。どれも彼を救いはしないけれど、いつかは避けて通れない道。そんな誰しもよくある板挟み状態のリーがたまらない!

 

そしてなんといってもラストの素敵さ!リーなりの最大限の気遣いがみられた船の維持の決定。でもやっぱり消えないトラウマ。決してトラウマを乗り越えれないリーの決定がとてもいい!甥は大切にしつつ、けれど無理はしすぎない。そんな垢抜けていない地に足のついたストーリーがとてもわたしは気に入りました。

 

 

全てがハッピーエンドではない、けれどなぜか終わった頃には清々しい、素晴らしい映画だったと思います!

 

 

2017/05/14

109シネマズ エキスポシティ